介護の現場では利用者のバイタルサインの異常を見逃さないために、日頃から様子をよく観察し、緊急時には素早く対応することが求められます。ですから、利用者の体温や脈拍、あるいは呼吸などを毎日測定して、健康状態を常にチェックしている介護現場が増えてきました。したがって、医療従事者だけでなく、介護職もバイタルサインの測定方法や重要性を詳しく理解しておくことが必要です。※併せて読みたいサイト:身体からのメッセージ「バイタルサイン」

バイタルサインのチェックでは、体温測定が最もメジャーな方法です。身体に異常があれば体温の変化として現れやすく、測定方法も簡易だからかもしれません。ただし測定前には、運動や入浴の直後ではないか、食事を終えたばかりではないか、さらに腋窩に汗がたまってないか等、あらかじめ確認しておくことポイントです。これを怠ると正確な測定ができなくなってしまいます。

それから脈拍の測定も、バイタルサインのチェックには欠かせません。脈拍は心臓の運動によって生じる動脈の波動なので、循環器等に異常があれば症状として直接現れやすいと言われています。脈拍測定では橈骨動脈が一般的ですが、上腕動脈や総頸動脈、さらに大腿動脈で測る場合もあります。正確な測定のためには、まず利用者をリラックスさせて、脈拍を安定させておくようにしましょう。また、測定者の手指を温かくしておくことも忘れてはなりません。冷たい手で触れると、脈拍が不安定になることもあるからです。

そして、呼吸を測定することもバイタルサインのチェックでは有効です。ちなみに、体温や脈拍とは異なり、呼吸は自分の意思でコントロール可能なので、測定の際には利用者に気付かれないようにすることがポイントになります。利用者が意識すると、それだけで呼吸のリズムや速さに変化を起こすので、呼吸の測定は、慎重に行う必要があります。